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日本ウッドデッキ協会からコラム

ブラジルの光と影 特別編

2020年5月22日

皆さん

お早う御座います。サンパウロは、冬の始まり。
アマゾンは、雨期の終わりと乾季の始まり。
そして、世界は中国疫病一色に染められています。

私は、日経新聞の電子版で、この問題への日本人の取り組み方、そして、ブラジルのTV,新聞にて、ヨーロッパ各国の事情を、極め細かく学んでいます。
その中から、日本に住んでいては分からない各国の国民感情を知ることが出来ます。
今日のレポートは、その寸描です。

ブラジルのコロナウイルスでの死者人数です。
5月9日に、10,627人。確か、アメリカに次ぐ数字です。
驚きは、その「急激な増加」です。
グラフは、4月、5月の2か月間ですが、5月に入ってからの伸び率の激しさは、まるで、カーニバルで佳境に入り、モレーナの踊り子が、陶酔した様に踊り尽きた様な印象さえ与えます。
「まだ踊り続けるのかい?」と彼女たちに聞きます。
その返事は、「知らないよ。もう止まらないんだもの」と、その真っ赤な唇を尖らせ、ぶるっと体を震わせて、ぶるっと揺れるオッパイのとんがりが、グラフのそれに重なります。

1万人を超える死者の報道記事を見ながら、それを悲しむコメントの代わりに、モレーナの厚化粧とすっきりと伸び切った肢体を想像するのは、この45年間に経験してきたこの国の底の深さが、私の体の底に刻み込まれているからでしょう。
いや、真面目な話です。「サッカー入場者』と「治安不安定で起こる死者数」以外に、そのグラフが世界のトップを争うことのないこの国のグラフを眺めていると、つい先ほどまで視聴していたYoutubeの日本の感染報道と比較して、国民の反応の大きな差に気づきます。

●。当然、毎日のTV報道、新聞報道でも、これらの数字が大きく伝えられます。
しかし、この疫病の発生源に関する報道は、ほとんどない。
ブラジルにはヨーロッパ諸国からの移住者が多数住んでいます。
また、サンパウロ州に住むブラジル人の半分は、イタリア系であると言われています。
しかし、「発生源地」は、中国です。
イタリアやスペインではない。
それにも関わらず、この5年間、「急激に増えてきた中国人が、その原因だ」とコメントする新聞記事には出会ったことがない。

●。ブラジルに住む中国人、そのほとんどはサンパウロだが、ブラジル人一般の尊敬を受けていない。
いや、一般のブラジル人にとっては、中国人も日本人も、同じ人種だとさえ思っているのではないだろうか?  
何故なら、彼ら中国人は、リベルダージ地域に固まり、商業、レストラン経営に従事している。
それは、過去、50年間ほどに、サンパウロ近郊の野菜、果樹栽培から、その販売に進出して日本人街を作り上げた日本人移住者達、その喜びと誇りを、赤く塗られた大⛩(とりい)と白い提灯によって表現した「農業の神様」とブラジルの農業者たちから尊敬されてきた日本人移住者達が作り上げた街。
そして、中国人の商業移民たちは、その歴史をそっくりパクッテ、あたかも彼らが作りあげた街であるかの如く、住んで、商売している。
あの頃、まだ貧しかった日本人移住者たちは、皆が資金を持ち寄って日本人街を作り上げた。
しかし、金持ちになった中国人は、その多額の資金により、中国人街に変化させた。

●。今、ブラジル政府も、世界の政府にならって、国民に救援金を与えている。
金額は、大人一人、600レアル(約、1万1000円)。それを求めて、朝、4時ころから人々は区役所の申請窓口に列を作って、辛抱つよく待っている。
低所得者にとっては、1か月の収入の半額に相当する金額。
早朝、深夜を問わず、待っている。

以上は、サンパウロのリベルダーデ地域の庶民の様子です。
そして、アマゾン地方に目を向けると、一面に広がる大豆やトーモロコシの畑、大型機械のみが働く大農場。
今年は、すべてが大豊作だという。
パラー州からは、連日の様に、300年掘っても掘りつくせないと言われる鉄鉱石の露天掘り。
そう言えば、この薄ら寒い冬のサンパウロをからかう様に、コパカバーナのビキニの美女たちが、TVに映し出されていた。ブロックアウトはブラジル中の都市への政府命令の筈。

2か月間に、10,627人の死者は、ずいぶんと多くの人数。
そのグラフが、新聞の第一面に報道される。
しかし、人々は、それに対して大きな反応を見せていない様に見える。

国土が広いから?、交通事故やファヴェーラの殺人事件の人数に麻痺しているから?

毎年、カーニバルが終わったら発表される死亡者の人数に慣れているから?。
いやはや、感覚がまったく異なる国である。
そんな地球の反対側から、せっせと、イタウバdeckを皆さんにお届けています。

中井成夫